私の秘密の宝もの/みずまくら
 
に記憶に残っています

それから半世紀以上
今でも普段の枕は
夜毎
赤いゴムの水枕です


一日を終えて
水枕に頭を沈め
ベッドに静に眠っていると
水枕は
何故か独りで
水を鳴らし始めます

  たっぷん たっぷん
   ちゃっぷん ちゃっぷん

水枕は
気ままで気まぐれに
それでもリズミカルに

  たっぷん たっぷん
   ちゃっぷん ちゃっぷん

私の耳元で
水を鳴らし続けます

  揺れる水が
  水枕のゴムの内から
  頬を軽くノックします

水枕は
水を鳴らす度に
目の前のひとつ目フックを
可愛らしく
ゆらゆら揺ら
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