ミステリーを紡ぐ/きみを分析する/Saturday /きみが好きなのか/たちばなまこと
 
満ちてゆく甘い痛みに
目の奥が疼くなら
目をつむって
寒さのせいにするように

くもる窓に走り書きをする
ただ一人だけ私の本質を知り得ない私を
紡いでいるのは
人々から譲り受けた感情か

何度も
くりかえし
ミステリーを紡ぐ
きみを分析する
Saturday
きみが好きなのか
隣の知り合わない人を見る
隣にいない知りすぎている人を思う
軌間の広い電車にゆられ
少し
眠い
アルベジオが弾けたら
いいのに
そんな夢をみる

波長の長い色の
天然石を買い集めた
丑三つ時に組み合わせる
これが
ミステリーを紡ぐということなのか
窓を開けて

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