マイセルフを探して/
中原 那由多
るべくしてここにあったのかと
悟った頃には既に雨は止んでいて
それでも傘をさしたまま屑籠を求めて歩いていた
つい掻きむしった首筋に
いたわるように添えた冷たい手
陽当たりの良すぎる部屋からは
詩集のページをめくる音がかすかに聞こえている
曖昧な答えの中ではまだ海洋深層水が循環していて
水風船のようにはじけたなら
身体と溶け合うことができるのに
水風船のようにはじけることに
時が止まることよりも怯えている
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