「ピカソ」/月乃助
なら いっそやめてしまえばよいのです
そんなことが、許されるのではなくて、
必要だと、言えば
わたしをあきれて見つめる
モクレンの花芽は、
きりきりと白く枝をにぎわわせて
そのなかに、身を潜めた
小さな綿毛のようなどれもが
やってくる春を疑いもしない
裏切られることのない 期待 を
それは、本当に確かなのです か
そうならば
う・ら・や・ま・し・い
鏡の中でわたしは、
モクレンになった
ひとつの結合体となって、
平面を蹂躙する
そこでは、でも
おまえたちばかり
ふつふつとあふれ出る
希望ばかりに 胸をふくらませ
幾何学的に伸びた枝でさえ
やはり、冬にたちすくむ
花木のすがたでしかないはずの
モクレンが
わたしのような
顔をして、
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