少年時代/窓枠
 
 
夜明けのサンマルコに風が吹く
恋人達の残り香を拾い
集めながら朝を、呼び込んで
 
頬を掠める
微かな潮の交響
幾つか期待を散りばめて
 
 ときめく、
 アドリアの海
 
呼吸する回廊
思わず走り回れば
 
 ずっと、
 
ずっと生きていたんだ、と
子供心に火をつけて
 
朝が来る
 
朝はやって来る
 
私の体は
世界で一番温かいような
そんな、気がした
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