波打ち際、ゆめは覚えてない/あぐり
ろいぶぶんが欠けている
怖がらないでいいのに
およげない
呑み込まれていくのは赦されないと出来ない できない
あいたいよ
あいたいよ
静けさにまた息が出来ない できない
海の
低く濡れた海の
あなたの声より低く濡れた海の
さよならなんて言い出したあなたの声より低く濡れた海の
その繰り返していく青さの果てで
あなたの瞳を深くさせてよ
波がとまらない
もし今日の夜だってひとりになるなら
何度だってあなたの背中のかたさを想うだろう
いきてる
うんと息を吸い込んで
咽の真ん中、
あなたの匂いをさがしてる
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