アリス/みい
と
時計ならあげるから離して、と
さっさか逃げていった
時計を覗き込むと短針しかない
ばちん、ばちん
頭を押さえると同時に
髪からぽろり銀の針
大きなホチキスのしん
とめそこなったホチキスのしん
かみさまがきっと
いくらでも時間を止めて
ばちん、ばちん
あたしにとめたかったものはなんだったんだろう
めがねのうさぎは有名などろぼう
置いていったのはかみさまの時計
あたし、どうしても長針になりたくて
排水溝にわざとおこっちてちいさくなるの
ぼろり
穴に転げ落ちて
あたしちっちゃなアリス
いつのまにか入っていた
ちいさな瓶も
壊せないで流される
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