語ることのない物語/kauzak
 
って味噌ラーメンを食べていたのに
麺が細麺であることに戸惑っている
太麺だったような気がするけれど確証はなくて

店の主人に聞いてみたい

でも聞いてしまうと
親父が亡くなったこと
帰京する日にはいつも食べに来ていたこと
だから今も同じように食べに来ていること
まで口走ってしまいそうで

身の上話を押しつけられても迷惑だろうと
話しかけることができずに
曖昧なまま受け入れるしかない

曝け出せない僕はこうして
思い出を風化させていくのだろうか
それでも思い出の核だけは残ると信じたい
信じたいのだ
戻る   Point(11)