語ることのない物語/kauzak
って味噌ラーメンを食べていたのに
麺が細麺であることに戸惑っている
太麺だったような気がするけれど確証はなくて
店の主人に聞いてみたい
でも聞いてしまうと
親父が亡くなったこと
帰京する日にはいつも食べに来ていたこと
だから今も同じように食べに来ていること
まで口走ってしまいそうで
身の上話を押しつけられても迷惑だろうと
話しかけることができずに
曖昧なまま受け入れるしかない
曝け出せない僕はこうして
思い出を風化させていくのだろうか
それでも思い出の核だけは残ると信じたい
信じたいのだ
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