あかいつき/靜ト
 
最近夜中に急に目が覚めことが増えた
一人っきりの暗闇はぞっする程無機質で
私はたまらず外に飛び出す


24時間営業の明かりが見えるまで走ったら
ようやくほっとする

誰かまだ起きているという安心

子供の頃を思い出す
怖い夢を見て起きた夜
居間からこぼれる光と母の気配に安心したこと


欠けているのだろうか
私は
そうだとしたら
何に戻りたいのだろう
どんな形だったのだろう


心細いから口笛を吹いて帰ろうとして、やめる
夜の口笛は死人を起こすと母に昔咎められたから




しんとした冷たさの中
削れたハイヒールの靴音がコンクリートに反響する




見上げると月が、赤い月が、
目を細めなきゃ見えないくらい少し、
欠けている

暗く熱く燃えているように見えるのに
本当は何もなくて冷たいんだろうな
と思ったら
また何かに気づいてしまう気がして
急いであるきだす


もし、いつか満ち足りたなら
私は何に還るのだろう
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