世界朗読旅行・サンパウロ編/馬野ミキ
 


カルロスは注文した酒を飲みながら
目の前のその透明なプラスチックの筒のなかで踊る女に
俺の知らない言葉で何か叫んでいた
いいぞー、とか、ヤらせろー、とかそんな感じの野蛮で本質的な言語だろう
まわりから同じような言葉が聞こえたし
女たちはほとんど男を無視するか相手にするかしていた
どっちにせよどの女たちも笑みを浮かべていた
兎に角、色とりどりのレーザー光線が飛び交っていて
あとは狂った惑星が幾つも回っていた

誰も俺を起こしにくる者はいない
つまりショウタイムはずっととおい昔にはじまっていたのだ
ステージでは誰かと誰かが交尾をはじめていた
日本を出てから色
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