ミッドナイト・シアター・ブルー/楽恵
リアの海に向かって旅に出る
やがて日没がやってきて 少女と少年の姿も見えなくなってしまう
そしてスクリーンの中で
私は真夜中の青の ほんとうの色を知る
映画館を出ると 夜はすでに 透明な白さを滲ませ始めていた
花紺青の色をした未明の空に
明けの明星と一すじの肋骨雲が流れている
あまりに深すぎる青の色を
私は直接に見ることができなくて
思わず眼鏡を外してしまう
そして眼鏡を外したまま
あの映画のラストがどんなふうに終わったのか
ぼんやりと思い出そうとする
東から紫色に変わってゆく空を見あげたまま
私は髪を纏め上げ 再び眼鏡をかける
そして最終上映の度に あの渡り鳥たちを失い続けている
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