夢に流す/あぐり
 
ている赤い光があんまりに透き通っていたから
やっぱりきみとは
夢なんじゃないかと思う


多少は人並みに眠れるようになったわたしをきみは多分蔑むんだ
(もう忘れたの忘れたの
きみはわたしを忘れたの)
そうずっと夢の中で呟くきみはわたしよりも細くなってしまっていて
許さないことも言えずにやっぱり
両手をいっしんに洗っている

((ゆびのあいだを
てのひらをこうをなによりてくびを
つめをゆびをなによりてくびを
洗い続けて洗い続けて
白く白くなったきみをわたしはそれだからうつくしいよって泣きたくなるんだ))

夜中にいつも鳴る時計の針は
きみの孤独を知らせてくれる
何時何分何秒
いつだって覚えているきみの横顔を
瞬きながら描いている
振り返るきみの手首を見て
わたしをずっと許すな
わたしをずっと許すな
呟く言葉は
毎晩一文字も変わらない




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