夢に流す/あぐり
 
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懐柔されていく日々に
きみはわたしをどう見るだろうか
転がり続けていた二足の靴が
もう誰の影も踏めなくなって
それからきみは諦めようと何度も手を洗っている
いわゆるともだちのわたしたちに
ありがちなきみの恋愛感情が混じり合うことはないわけで
隣でわたしも水を汲み
その水でわたしは色をつけ
いつまでたっても手を洗い続けているきみを本当は抱き締めたかったが
何も言えずただ描いている

夕暮れにわたしたちの靴は焼かれたから
裸足で帰ろうかとわたしから言い
細い指を掴もうとしたところで
今、もう覚めてしまうんじゃないか
夢なんじゃないか
廊下を這ってい
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