焚き火がしたかっただけなのに/草野春心
 




 それが正しいことなのか
 間違っていることなのかわからない
 それが僕を
 温めてくれるのかどうかさえ
 何もわからない



 どこへゆくのだろうか
 どこへ還るのだろうか、僕は
 僕は生きているのだろうか
 生きてゆけるのだろうか
 部屋を
 街を
 世間を
 組織を
 しがらみの中を
 魂の示す路を
 僕は生きてゆけるのだろうか
 その先に
 死のほかに
 待つものはあるのだろうか



 僕は泣いていた
 またも膝を抱え、爪を噛んで
 体をがたがた震わせて
 僕は泣いていた
 ただ僕は
 焚き火がしたかっただけなのに





戻る   Point(0)