僕と電柱と皆既日食/もしゅ
 
、切れた電線に絡まって横たわっていた。その光景があまりにも殺風景だったから、僕は目の前にあったトマトジュースをみんなが横たわっているところにばらまいた。トマトジュースの真っ赤な海の中で公転周期と自転軸と電線は互いに絡み合い、うちあげられていた。
 本日は100年に一度の皆既日食であります、と今日のニュースで言っていた。それはそれはおめでたいと言いながら僕は目の前に置かれたトマトジュースを眺めていた。僕は電柱を見つめ、ため息をついた。電柱は嬉しそうに、同じところに立っていた。
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