突き刺せよ、渦巻きに/
石川和広
吹かれ吹かれ
彼女は、発作が元の事故で、亡くなった
彼女は、消えてしまった
ぼくの渦巻きは、とれない
恋していたわけではないけれど、タオルでひとつぶひとつぶ落ちる水滴に、重力の悲しみに耽ると
渦巻きから毛穴に信号が送られ
鏡に写る自分の顔と見つめあい
とりもどせ ぼくを
ぼくをおおおと、突き刺すと
渦巻きは、脱衣所の隅に隠れた
戻る
編
削
Point
(5)