突き刺せよ、渦巻きに/石川和広
 
吹かれ吹かれ


彼女は、発作が元の事故で、亡くなった
彼女は、消えてしまった
          ぼくの渦巻きは、とれない


恋していたわけではないけれど、タオルでひとつぶひとつぶ落ちる水滴に、重力の悲しみに耽ると


     渦巻きから毛穴に信号が送られ
     鏡に写る自分の顔と見つめあい
      とりもどせ ぼくを




       ぼくをおおおと、突き刺すと


       渦巻きは、脱衣所の隅に隠れた

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