文盲/ゆえづ
 

不自由なペンが
真っ白い紙の上を暴れるとき
あなたは
見たこともない景色を見るだろう

インクを調整しやすい
それだけのひと
わたしは
それだけのひとになった

利かないものは捨てていく
それが利口だって信じていたのに
ねえいつから笑わなくなったわたし

一切の無駄を許さない
自由だって知っていたけれど泣いた
思うように書けないペンなど
片っ端から捨ててやった

そうして眠ったんだ毎晩
全てを見届けて
何一つ見ることもなく
笑ってしまう
真っ白だ
もう笑ってしまう
夢って字が書けない


戻る   Point(4)