『nopain island』/川村 透
蝶は螺旋の柱となって
窓とおぼしき、うつろな四角から海と空の隙間へ散り散りと消えた
藍色の崖が見える鷹、どもが天から水面へとすべり降りる
あの蝶たちが猛禽の鳥へと変化でもしたかのように
羽の斑は刺青か、
短気なやうな蝶が来る。
今日の入日の悲しさよ。
思ひなしかは知らねども、
短気なやうな蝶が来る。 *1)
少女たちは目をつむる。
動悸が乳房を、突き上げる気がするあの指を思い出すあの
夜を思い出す。
針のように草のしとね、は肌を刺す刺青のように蒼ざめた
心臓がコルクのように軽くなる軽く
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