愛されなかったひとのためのソナタ/瀬崎 虎彦
 
結晶する 耳元を過ぎる速い風
二人から 切り離されていく運命
共有した 時間が遠ざかっていくと
無理して 笑っていたのかと疑心暗鬼

光のさす場所を突き止めて
香りの漂う源を追い求めて
ただひとつの曇りもない
あの人の心の窓に亀裂

愛されなかったと
愛したひとが言う
愛されたかったと

愛したひとが言う
愛して幸せだったと
愛したひとだけが言える
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