ポケット/ミツバチ
 
陽の光が徐々に弱まり
空気も冷たくなって
そろそろ冬が来るのだと気付く
一人に慣れている私でも
この季節は人恋しい
人混みに紛れてみても
近くのコンビニの
おでんを求めてみても
寂しい思いは
ちっとも薄れない

進展の無い君との距離
もどかしくて歯痒くて
「今夜食事でも」
と思い切って誘ってみる
他愛の無い話で
そこそこ楽しかった
でも君の気持ちは測れず仕舞い
やっぱりいい友達なのかな…

食事を終えて店を出る
別れ際のイルミネーションは
とても綺麗だった
微笑んで見つめる
君の横顔がとても素敵だったから
勇気を出して
冷えた指先を
君のポケットに入れてみる

君の顔を見ることが
出来ない
恥ずかしくて
うつむいた私の手を
何も言わず
握り返してくれた君の手は
とても温かかった
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