あこがれ/
ゼロスケ
何も見ず
腰まである黒髪が潮水にひかれて
蛸の肢のようにうねっている
銃弾のペンダント・トップが
鎖骨へこぼれた
今時あんなこと言ってるのは
門の老人たちだけのはずなのにね
触れない
いや「触らない」海 だよ
触れることを避けた
水銀したたる 中指のさき
陸の人間たちは何回ためしても
正しく思い描けないので
狭い岬 くずれたブロック塀の上から
両手で仰いでいるのみ
およがない
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