オーダーメイド/智哉
 
タンスの中からウェディングドレスが出てきた
真っ白だったであろうドレスは
少し裾らへんが黄ばんできていた
デザインは当然新しくはない
鏡の前に持って行き、私は
自分の胸に合わせてみた
狭い身頃、短い裾、少なすぎるレース
もちろん私の物ではないそれは
捨ててしまうには神聖すぎる気がして
下取りに出すにも出しにくい気がした
持ち主が居なくなっても存在感のある一着
でも生涯で一回しか着られなかった一着
やり場のない一着


私はレンタルにしよう
そう心に誓った

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