散恋休/木屋 亞万
びのように空を飛んだのだ
好きですというには勇気が足りなかった
SukidesuというにはU-kiが足りない
SdeS,sdes,see,ed,des,ess,ss,seed,de,dead
いつか降りてくるだろうと思った
膨らみ続ける苦しげな皮膜を
撫でることができるだろうと思った
頬を当てて熱を感じられるだろう
さりげなく唇をあてて
小さく丸くなって眠るのを
眺めることができるだろう、と
地上でもわかるくらい強い風が吹いて
赤い果実が裂けて揺れて弾けた
中には何も詰まっていないと思っていたのに
いくつもの赤い小さな粒が風船のような
頼りなげな足取りでバラバ
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