銀杏/月乃助
の重さがまして、
物質のように存在をしめす芳香をはなち
形をなしてくれるのならば、積み上げるそれを
あの頃からずっと続いていながら
わかろうとするのも簡単だろうに
時に実になったそれを拾い集めてみれば、
銀杏(ぎんなん)のように口にあまそうな黄色い実が、
やっぱり、ここではこんなに
強い異臭ばかりの、いつまでたっても指先からはなれない
どうしようもなくて、なんども手を洗うはめになるなんて
それでも、あなたは優しくわらっているのですね、
テーブルに向かったまま
いつもの
とおく 遮断された
【 あたたかさ 】
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