銀杏/月乃助
 
の重さがまして、
物質のように存在をしめす芳香をはなち
形をなしてくれるのならば、積み上げるそれを
あの頃からずっと続いていながら
わかろうとするのも簡単だろうに
時に実になったそれを拾い集めてみれば、

銀杏(ぎんなん)のように口にあまそうな黄色い実が、
やっぱり、ここではこんなに
強い異臭ばかりの、いつまでたっても指先からはなれない

どうしようもなくて、なんども手を洗うはめになるなんて

それでも、あなたは優しくわらっているのですね、
テーブルに向かったまま

いつもの 

とおく 遮断された






【 あたたかさ 】






戻る   Point(11)