インサイド/唐草フウ
ここには点灯した
叫びと蛍が浮遊しているから
指をちぎる
さわりませんように
あなたにこの文字を見られないように
舌を噛んだまま
呼ぶ
から
そうですよね、
身を破り散りたいほどの時を
だきしめる
ただ、ただ
ぼう然としながら
伝わるものは
こんなところに
落ちていません
さがしてもさがしても
見つからないのは
気づいている
わかっているの
ほら冬の気配が、するでしょう、ちぎったっつっても、手の先が、やっぱり感じている
ああ正しさを置いて
優しさも置いて
いとしさでもって
ぜんれいでもって
どんな寒さでも、生きてしまっているのわたし、
拝んでも拝みきれないから
身のほどける時まで
溶けてなくなるいつかの日まで
蛍たちは、居つづける
救いのもじに
かわもに
集まる
手もとを危めながら
こころを玩びながら
どうしているのだろうか
消えていったひとを いつまでも、温かく、感じている
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