いのししを逃がさない男/オノ
いのしし見張り師の朝は早い。
いのししより先に目覚めなければいのししは
逃げてしまうからだ。。
まだ薄暗い山麓の傾斜地をいのししの柵めがけて
歩き始めるいのしし見張り師。
いのししの柵は5メートルほど囲いきれていない
場所があるので、そこを見張っていれば基本的に
逃げられることはないのだと言う。
いのししの柵に辿り着くと、いのししはすでに
起きていたが、別に逃げられてはいなかった。
ほっと胸を撫で下ろすいのしし見張り師。
今回はいのししに逃げられなかったが、
いのしし飼いにとってはこういったミスが
命取りになることが多いのだという。
ふいにいのしし見張り師の顔が曇る
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