パン切りナイフで手の平が切れた/智哉
朝起きてみると炊飯器が反乱を起こしたか
お米が炊けていない
仕方なく5枚切りの食パンにジャムをはさむべく
1枚をさらに2枚にスライスしようとして
不器用な僕は手の平も一緒にスライスしかけた
手相の感情線の上に垂直にできた傷を眺めた
ねえ、この傷はまるで君みたい
僕の感情をまっすぐに横切って
いつしかかさぶたを作り大きな傷となり交わる
しかし今はまだ痛みを伴い血を流し
僕の感情を逆撫でしあらゆる作業を妨げる
でもね
手の平の傷って、気になって気になって
ついつい眺めてしまうんだよね
だからほら
やっぱり君みたい
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