部屋/ミツバチ
 
カーテンの隙間で
光が踊っていた
整えた呼吸に
蝶が舞う
微かな羽音は
外へ誘い出そうと
懸命に響かせて
私の闇を掻き回す

手の平は温かいのよ
父の温もりも
母の温もりも
薄れた手の平は
どれだけやり過ごしたの

足元の猫は
何も語らなかった
遠い記憶は
空の彼方に葬ったのね
優しくなびく風も
何も感じられなくなって

眠っているの?
息もしないで
私の問いかけは
空を切って
もう何処にも還らない

毎日朝に生き返るけど
きっと溺れてるのね
塞ぎこんだ部屋が
闇を抱え込んでいる
戻る   Point(3)