野宿考/たりぽん(大理 奔)
 
なく
投げ出されたからだから、だ
極光、そんな激しいものではなく
厳冬の日、暖めるために口元に寄せた手のひらから
漏れ出した吐息に
無慈悲な陽光が差し込んだだけ、だ
私が還っていく草むらは
そんな、あなたのよような
わずかな湿度と明け方の草露で
沈み込んでいく私に
一瞬の正気を投影するだろうか
お気に入りの三等星の名前をささやきながら
投げ出されたからだを
どんな恒星よりも薄暗いこの夜を
その左手を添えるために
アスファルトの途切れる場所を探している
草いきれの高さは膝の上
光らない羽虫が眠る
イーゼルのような送電塔に
今日も透明な四角形が飾られている




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