ビール病/ふくだわらまんじゅうろう
 
の向こう
遠い日あの日に置き去りにした記憶の小窓
そっと開いて秋風の
誘うがままに吹き消されるよな
黄金色の泡の向こうに
気骨の一つまみでも夢に見られたら
夢に見られたなら

ビール病とは
病にして病にあらず
あたかもそれは
ビールにしてビールならざる
発泡性の麦酒の恵み
曖昧ならざる返事の極み
遺憾ながらの塩辛騒動
和食道楽
問答無用
ビール病とは
病にして病にあらず
山の向こうに沈む夕日の
静寂のそのまことしやかな
冗談の結実であるとは言えないものか
ああ
言えないものなのかなあ



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