シェル/ゆえづ
 

ぽかり ぽかり
夜のしじまに打ち捨てられた浮子



私たちは空っぽで
球殻状の胴と櫂そっくりの腕を持ち
従順なコンパスで無の瞼を開く

それは
大気と水の触れ合うとき
底無しの青に放たれた
この血の色と
影の行方をつたえ遺すため


再び胎内へ漕ぎだすが
果てはない
打ち付ける砂利を飲み
君はおのずから足を捨てた

帰るべき沖をカモメに訊く

朝の大きく広げた口に
為す術もなく
飲み込まれてゆくだけの私たちは




ぽかり ぽかり


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