洗面所から見えない空/草野春心
 
いに淡々と過ぎる
  こんな事実は滑稽なようで
  それでいてぞっとするようで



  洗面所から見えない空は
  見知らぬ誰かの痛みに似ている
  その誰かの幸福にも似ている
  一瞬のように見えて一瞬は
  大きな厚みをもった永遠なのかもしれない



  ぼくは髭を剃ることが好きだ
  きっとこの街のどこかで
  空は晴れていて
  涙がこぼれそうなほど青いんだ
  それがぼくの
  洗面所から見えない空でも




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