ある体験/笠原 ちひろ
 
イヤサれたいのかアヤサれたいのか
さっぱりわからないまま


それでも

ワタシの傷はワタシだけのものだ、
そう簡単にイヤサれてはたまらない



カタクナに身をカタクしてじっとしていた


わりかし長い時間
ずっとじっとしていたら

そうこうするのにすっかり飽きて

中途半端はまっぴらごめんだ

どうせなら

徹底的に、完膚なきまでイヤサれたい



ある日
ひかりにすべてをさらしてみた




…傷だと思っていた

…なにかあったら律儀に傷つかなくてはと思っていたよ?ワタシは




黒をのみこんだこころは重くじっとりしていて

抱えているだけで時間にさえもつかれてしまっていたもので

これっぽちもこころうごかしたくないと思っていたけれども


きんいろのシャワーはやさしくやさしく

つつみこむようにあくまでやさしく、


うぶ毛までひかりに撫であげられながら

ワタシはワタシが間違っていたことを




喜ぶ




戻る   Point(3)