Eve/within
朝露の滴る草むらに横たわり
私の身体はがらんどうなのに
脈を打っていた
温もりもわからず
コロンカラン コロンカラン
流した涙は
冷たい石のような音を立てて
深い井戸に落ちた
私に父さんはいない
父さんの代わりだったおじさんも
目覚めたら死んでいた
雨の強い日だったので
傘を差して
母さんを探しに出かけた
バス停には 一人の黒髪の少年がいて
彼は私の片腕を盗んでいった
「晴れ間が出てくると、きっと虹が見られるよ」
母さんは私をバラバラに引き裂いた
頭だけになった私は
目をくるくる回しながら、母さんに
「ひとりにだけ
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