こえ/捨て彦
うに
幽霊が目の前に出てきたときのように
内田春菊のように
セックスしているときのように
風俗で相手してもらってるときのように
風俗嬢と喋っているときのように
徒競争でライバルを抜きにかかるときのように
議論でグウの根も出ないほど打ち負かされたときのように
青汁を騙されて飲んだときのように
テレビゲームに没頭しているときのように
サギられたときのように
扇風機にあたっているときのように
風呂っているときのように
ひどい怪我をして血がだらだら流れているときのように
飼い猫の頭を撫でているときのように
嘘をついて負い目を感じているときのように
一服ついたときの息のように
エロ本を初めて買ったときのように
光りの速度のように
新幹線が走っているように
ビルが建っているように
夜がくるように
街がそこにあるように、
肌を泡立たせる
まぎれもない現実が
僕の夢見がちな言葉を
ざっくり貫いてしまえばいい。
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