「私」という包み/ゆうか
 

あんなに明々とした学校を
「私」という包みは知らない

包みの中身は常に空っぽ
強いて言えば御飯の残りが少し

多くのラベルを抱えては
乾いた涙に絞られていく
しかし切り傷ひとつ残さない

この包みはもろくも、強く
強くも、もろい

それが集めたラベルの仕業なら
今夜22時47分オリオン座の空の下
向かう、西北西の河川敷
“かなづちです”
というラベルを剥がし
浸る水がぬるく感じたら
ふやけた身体で「おぎゃー」と泣いて


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