いとおしいきもち/アンテ
 
つまったひとたちが
まわりをとりかこんでいた
ひとのかずだけかばんがころがっていた
ちょうどそのとき
まよなかのかねがなりひびいて
するととつぜん
かばんのなかみなんてみるのもいやになって
ひとつずつ
ほのおになげこんだ
まわりのみんなもおなじように
かばんのなかみをつぎつぎとなげこむので
ほのおはますますいきおいをまして
ひるまのようにまちがあかるくなった
よがあけるころには
それでもぜんぶもえつきて
ほのおもしたびになったので
からっぽのかばんをさげて
みんな もときたみちをかえっていった
みわたすと
まちはずいぶんさまがわりしていて
いとおしかったこと
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