いとおしいきもち/アンテ
つまったひとたちが
まわりをとりかこんでいた
ひとのかずだけかばんがころがっていた
ちょうどそのとき
まよなかのかねがなりひびいて
するととつぜん
かばんのなかみなんてみるのもいやになって
ひとつずつ
ほのおになげこんだ
まわりのみんなもおなじように
かばんのなかみをつぎつぎとなげこむので
ほのおはますますいきおいをまして
ひるまのようにまちがあかるくなった
よがあけるころには
それでもぜんぶもえつきて
ほのおもしたびになったので
からっぽのかばんをさげて
みんな もときたみちをかえっていった
みわたすと
まちはずいぶんさまがわりしていて
いとおしかったこと
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)