不確定性過呼吸の昼下がりに 、すこし飛ぶ/北街かな
 
 あれは夢であったはずが違った?
事実は奇妙にそこで待ちぼうけていた。
指先の滑り込んでゆくところの時系列には
呼吸困難と発汗と、呪いみたいな痛痒感と、意識のゆらぎがあり
いわゆる一〇〇〇億番目の大宇宙かもしれない
あるいは、きみの言っていた超惑星新説かもしれないね、と。

とまったまま血を消した物体のきみが
向日葵のなかで教えてくれたんだ
雨雲色の皮膚に浮きでる、地上の物理的際限を
きみという名の事実の終了に伴う、
きみという名の宗教の始まりを。
だからね、きみのように死者になる瞬間は
摂氏二十二度くらいの爽快な昼下がり
まっさおな空の真下がいいね、
不確定性に全身を引き摺られても
手だけは伸ばしてみると決めたんだ

びっくりするような声で飛び出してみせるよ、
だから、だからね、だから、青を掻き分けて!
どうぞご照覧ください、
光のまんなかに消失してゆく絶望者の空真似は
この世のどんな素晴らしい宣言よりも前向きさを内に秘めるだろう
反転しながら、
笑ってみせるよ。
戻る   Point(6)