通学路/百瀬朝子
小学校と家との間
決められた道順が忌まわしくて
通学路の距離は
私の家がクラスで一番長かった
私の通学路は、
ひとりぼっちの道が長い
道のりは木陰が多く薄暗い
ざわざわ揺れる木々の葉音
お化けが似合いそうな不気味さ
晴れの日だって湿気を含んでいた
私の(ゆううつ)を膨らます
(それは、特別の友だちがいないとか/ひとりぼっちの机と椅子か
らみじめが滲んできていることとか、その程度の抵抗でしかない
のだけれども、小学生にとっては日常のすべて、南から陽の射す
あの正方形の教室が)
いやよいやよと
登校を拒んだあの日
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