Deoxyribo Nucleic Acid/ジャイコ
 

* adenine *


墨色に溶かされたあなたの体が、
ここでは美化されて壁に飾ってありました。

両の腕は二重螺旋の鎖でしっかりと繋がれていて、
アデニンの色に染まった空が少しだけ泣いているように思えます。

細長く節のある体からは既に全部が失われていて。
きみはただ柔らかく泣くしかできない現実から半分だけ消えようとしていました。

両目のレンズがくもり始めたので私は、
そろそろ新しい鎖を結わなくてはいけません。
それはきっと夕日の落ちる先へ進むための道しるべ。
いいえ、ただの鍵なのでしょうか。

どちらにせよ、予兆は大切に扱うべきだと
祖母からきつく
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