「踊り狂うカメレオン、松風の如く」/Leaf
保護色に徹したばかりに我をも見失ってゆく
困り果てたカメレオンは遠巻きに逃げ去る
変化の方向性を再度検討する旨を筆に認(したた)め土に埋めた
筆の走りを滑らかにしようと筆先を矢鱈舐めまくった所為で舌は伸び収納に蜷局(
とぐろ)を巻く他なかった
其れ以来、舌の活用は喋る事より蠅を捕える方が有効だと気付いた
気付くだけ幸せというものだ
今年の夏の祭事は終わろうとしていた
彼が背広を脱いだかどうかは誰も知らない
知らなくていいほど廃れるこの世界だ
とどの詰まり、腐った性根は容易く治癒しない
今年も境内を囲む夏祭りの冷気は松林を清く取り囲んでは如何わしく側扁(そくへん)し、凡てを曝け出し炙り出す
嗚呼、やけに風紋が綺麗だ
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