「踊り狂うカメレオン、松風の如く」/Leaf
に気付いていない
境内に面して誓う振りする不埒な背広が天に昇った気で見下ろす眼下には
民衆の怒りにも似た熱気が蜃気楼の揺らめきで
壇上の余りの放蕩っぷりに興醒めし、真夏の冷気へと変化(へんげ)する
感情を自在に操ろうなどと図る非道な心音をも凍らし
華やいだ祭事は元来我々のものだ、と言わんばかりに袖引き千切る
煌々と石畳照らす提灯も消された揚句に背広を着たカメレオンを屋台の煙で燻す
胃は縮み脂汗と咳が止まない狼狽七変化
隠れ蓑の完成に向けても捗捗(はかばか)しくない
狸と狐の化かし合いより習得した技巧派も炎天下の風情に折れ始めよう
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