植物工場でのトマト氏との対話/pikopiko
静に どこかに原因はあり改善されなくてはならない
制御システムの、どこかに、重大なバグがあるのだから
「私の中にうごめくものがやがて君の赤い臓器になる」
調整室を出て握りつぶしたいという衝動を抑えて
ペットボトルの水を口に流し込む 冷や汗をさとられてはいけない
「君と同じ青い空がみたい、より赤く熟してみたい、地上16階とはね、お天道様に近づけたのは光栄だが、これでは根が欲求不満でね、君、
あぁ疲れた顔をして、僕たちは記録されているのかい?」
頭が痛む、画面がよく見えない
「腐って!消えて!」
トマト10810はいつのまにたくさんの皺を表面にうかべて
「ならば 君が僕を持って 根こそぎ 光にさらせばいい」
私の中が 真っ赤
扉が開いて風が吹きこみ、トマト氏、夏祭りの喧噪へ飛び込む
戻る 編 削 Point(2)