鋸でぎこぎこ切っているのだ/人 さわこ
は飲み込まれ呼吸が吸引に変わる。果てしなく水を吸い込み吐き出す、明日もまた水を吸い込み吐き出す、その次の日も水を吸い込み、吐き出す。決して死ぬことができない。男が生きようと思う限り、死ぬことができない。そうなれば次の日も男は水を吸い込み、吐き出すだろう。明日も明後日もどうせ吸い込み吐き出し、それが永遠に続くことを分かっていても、男は水を吸い込み、吐き出すことを止めない。何故そこまでして生きようとするのかと、誰もが男に問いかける。その瞬間、男は永遠の眠りにつく。風邪の人に問いかけてよ、独りじゃないんだって、だってだって忘れないで。テレビのボリュームを最大にしてももう聞こえない。冷蔵庫の余りもの。演技
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