風鈴売りの街/瓜田タカヤ
 
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風鈴売り達が風鈴を作る
その中の誰かがこっそり
ガラス細工の日本刀と鎧を作り

人々の脊髄を斬りつけ
妻に命令してチャックを縫いつけていく

アルコールまみれの肌らが
ふざけてその内部に入ってみようと試みるが
「初めにいただろ!」と含み笑いで追いつかれ
すぐに見つかり
斬りつけられてしまう

巨大な臓物は
巨大な幼児のものだ
と皆が言い

鋼の夕暮れ
暖房の効いた とろける質感の地面を踏み
逃げ回る

唾液を吸いあう
恋人達の柔いくちびる以外

きれぎれで オレンジに
蒸発する

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