あからん(秋編)/松本 涼
 
秋は色を移ろわせ 絵になるのを惜しみながら

川も木々も草も獣たちも この空も

さり気無くしなやかに すっかりと繊細に染め替える


戯れは地表に積み上がり 低空で溶ける


波に逃がした ぬり絵に願いを乗せ

晴れた昼に膨らむ 碧空に抱擁された


真上を見上げ 無心の恵みに黙する


やがて 緩やかに夜は

来訪し 陸風も流転と例の論説で


私を ・・・



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