いいわけ/かんな
 
水面下で寝息をたてるわたしに
おはようのあいさつは
いつもキスだった

大切はいつも
抱えていたつもりで
放り投げていたかもしれない

川のあたりできれいな石を探すようには
見つからないかもしれない
三段とびして向こう側へ、誰かの、

あなたの、手に渡ったかもしれない
そう、かもしれない、が多すぎて、浮遊して
わたしを覆い尽くしてしまうから

すこし、呼吸が下手になる
あなたにキスもできなくなる
ほら、かもしれない、が泣いてしまう

どこかうす汚れて
どこか潔癖でいて
どこまでも矛盾している
きもちは流動し、きっと名のない海に行き着く

晴れている
空がいつまでも
にくたらしいくらいの広さで
わたしを抱きしめるから、何も言えない

明日もし、雨が降ったなら
どこかで誰かに
ホントウのきもちの話をしよう


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