ストロベリーサリチルジュブナイル/ひとなつ
完成させた
今思えば完成度は高かったと思う
ただ、僕のミイラづくりにひとつだけ妥協した点があるとすれば
イチゴが旬ではなかったため、糖度が低いものを使用しなければならなかったことだ
糖度が高いほうがカビに強いことはもとより、
糖度の高い甘いイチゴで作ったというポケモンの能力値的な必然性も、
あの年頃の僕には重要な気がしたのだ。
それと、もうひとつ引っかかるのは
今思えばあのイチゴは「冷凍もの」だったのかもしれないということだ
もしかすると僕はあの夏、ウォルトディズニーのように既に冷凍保存されたイチゴを、
ミイラに…保存方法を変換しただけだったのかもしれない
秋口のイチゴは「冷凍もの」の輸入が多いという
ということは結局、小学校最後の夏休みに、
僕は永久死体を冷凍庫から棺おけに移しかえただけだったのか…
悔いはミイラのように心残りだ
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