幼さ/かんな
 
 いくつもの、
 接がれない
 夕刻のだいだい色を
 ポケットにしまおうとして
 持ちかえれない
 そんな夜は暗闇に目を凝らした

この病棟の窓から見える夜景は
いつもと変わらない
しれっと
つまらない顔をしてみせる
十七歳で発病した
この病もまた
しれっと
わたしの人生を大きく変えたか

 幼さはきっと
 不変と呼べるものには
 出会わなかった

変えた
わけではないと
そろそろわかることができるほどに
歳月が過ぎた
家族と、
家族としていることや
社会と、どこかで繋がることに
あまりにふつうに憧れて
それでいて
反発していた

 幼
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