カラーバット/光井 新
 
で抑えながら、兄は母の服を摘みながら、ゆっくりと歩いてくる。
ある程度近付いてきたところで、兄は、昆布に変わり果てた自分のバットに気がつき、男の子の元へ全速力で駆け寄り、怒りに震えながら、男の子の左腕を強く掴む。}
 男の子「あぁん? はなせよ! せっかっくきもちよくなってきたのに、じゃますんじゃねーよ」
 兄「ふざけんじゃねーよ、あやまれよ」
 男の子「はなせっつってんだよ! さわんじゃねーよ、きもいんだよ、まざこんやろー」
  
男の子は右手に持っている昆布で兄を叩く。ベチンベチンと何度も叩く。
兄は掴んでいた男の子の左腕を離し、母に泣きつく。

 兄「うわーんっ」
  
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